【語根】fac : 作る、行うの派生語彙一覧

face : 顔、顔つき、表面

解説

surface [ [US] sə́rfis | [UK] sə́ːfis ] sur(上) + face(顔) = 表面。[名]表面、(幾何学的物体の)面、水面 [形]表面の、外見上の。

親・祖父となる語根… fac
語源…ラテン語 facere(作る、行う)、(過去分詞)factus、(完了分詞)factum

当ページはfacの追加解説として制作していますので、基本解説は以下をご参照下さい。

【英語の語源シリーズ - 語根】fac : 作る、行う

【語根】fac : 作る、行う

facから派生した語彙の意味と語源、Tips

affair [ əfέər ] : [名]事件、仕事、業務、出来事、恋愛事件

affair ← 中世英語 afere(行う) ← 英仏語 afere(行う) ← 古仏語 afaire(~に行う) ← 古仏語 a faire ← ラテン語 a(~に)+ facere(行う)

ラテン語 facere から古仏語 faire が産まれ、組み合わせによって生まれた古仏語 afaire が英仏語(アングロフランス語)を通して中世英語、英語へと受け継がれていった結果、産まれたのが affair です。

これほど複雑な経路をしていて、且つ fair が今持つ英語の意味からも外れるため、「fairが入っているから行うの意味だ」と思わないようにしましょう。

 

benefit [ bénəfit ] : [名]利益、恩恵、給付金、手当、慈善募金 [動] 役立つ、利益を得る

benefit ← 中世英語 ben(e)fet(e), b(i)enfait ← 英仏語benfet = 古仏語 bienfet, bienfait ← ラテン語 benefactum ← ラテン語 benefacere(良く行う) ← bene(良い) + facere(行う)

中世英語の ben- から bene- へ変化したのはラテン語「bene(良い)」に倣ったため。-fet-fit への変化は発音を反映した物。ラテン語の benefactum から古仏語 bienfet, bienfaitへは言語としての発達、変化による物です。

 

profit [ [US] prɑ́fət | [UK] prɔ́fət ] : [名]利益、収益、利潤 [動] 利益を得る、利益になる

profit ← 中世英語 profit(e) = 古仏&仏語 profit ← ラテン語 profectum (進歩、発達、利益) ← ラテン語 proficere(前進) ← pro(前に)+ ficere(作る・行う)=前で作る

benefit 同様、こちらも fac にならず fit になっています。これはラテン語 profectum から 古仏語 profit へと言語的に発達・変化したからです。benefit と同じような意味ですが、 benepro で微妙にニュアンスイメージが変化します。

 

face [ féis ] : [名]顔、顔つき、表面 [動] 直面する

face ← 中世英語 face, fa(a)s = 古仏&仏語 face ← ラテン俗語 facia(m)(顔・外見の意味) ← ラテン語 facies (型、形、顔) ← facere(作る・行う)

元々は facere から作られた facies が顔としての語源になっており、ラテン俗語 facia(m) から face へと古仏語で発達・変化して行きました。ラテン語 facies の時点で「作る・行う」からは遠く離れた意味になっており、face への綴り変化も複雑なため、 face は最早「作る・行う」のニュアンスはほぼ残っておらず、「顔」としてのニュアンスが強い一つの語根へと発達しています。

 

facile [ fǽsl ] : [形]たやすく得られる、容易な

facile① ← 中世英語 facyle = 古仏&仏語 facile
facile② ← 中世英語 facyle = ラテン語 facilis(簡単な・容易な) ← ラテン語facere(作る・行う)

facile は古仏語とラテン語の両方から輸入され、一つの英単語になった言葉です。

fac(作る・行う)+ -ile(~できる、~に適した、~に関するのニュアンスを持たせる形容語尾)= 容易に出来る

fac と –ile がくっついて出来た単語のようにも英語語源辞典には書かれていますが、同時に経由された言葉にも発展・変化が見られます。

 

feat [ fíːt ] : [名] 手柄、異形、早業、妙技 [形] よく似合う、適当な、こぎれいな、手際の良い、巧妙な、うまい

【名詞】feat ← 中世英語 fet(e), fait =古仏語 fet, feit ← factum(作られた物・やった事) ← facere(作る・行う)

【形容詞】feat ← 中世英語 fet, fait ← 古仏語 fet ← 古仏語 faire(作る) ← ラテン語 facere(行う、作る)

featfact の二重語で、fact の事実・現実とは違った形容を加えた名詞を作っています。

 

feature [ fíːtʃər ] : [名] 特徴、特色、容貌 [動] 特徴を作る

feature ← 中世英語 feture(形作る) ← 古仏語 faiture(型、形) ← ラテン語 facturam(作った物、型) ← ラテン語facere (行う、作る)

上の feat から派生したのかと思えば、それは違うよという例です。親となった語源が同じなら似たような意味にはなるのですが、先祖と言えるぐらいのレベルまで何代も世代交代していると綴りは似てても意味は似なくなっていくようです。

 

feasible [ [US] fízəbəl | [UK] fíːzəbəl ] : [形] 実行できる、実現可能な、うまくいきそうな

feasible ← 中期英語 fesable(実行できる、うまくいきそうな、もっともな、ありそうな) ← 古仏&仏語 faisable(実行できる)← 古仏語 faire (行う、作る) ← ラテン語facere (行う、作る)

-ible は【~出来る】の接尾語だから、feafac の語根変化形なのか?」と思うかもしれませんが、この場合、feasible 自体が語根となります。ただしそれは「語根変化形」のみを意識した時に起こる間違いで、「 feasible って何となく fectable がくっついたイメージあるなぁ」と考えて意味にアタリを付けるのは間違ってない考え方ですね。

 

まとめ

上記のように、「 fac だから」という理由で無条件に「作る、行う」のニュアンスが強いに違いないと思うのは間違いである事がお分かり頂けたと思います。(近い意味かな?とある程度疑ってかかる、参考にする程度なら有りだと思います。)

また、「 feature の中に feat が入っているから feat の意味が含まれるに違いない」と思うのも間違いになってしまうのも発見があって面白いですね。

語根に接頭語・接尾語がついただけなら極めて単純で分かりやすいのですが、 facefeat 等の少し fac から離れた物になると語源が複雑化して fac からは想像しづらい意味になったりもします。

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