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解説
語根変化形… fac – fact – fect – fic – fy
語源…ラテン語 facere(作る、行う)、(過去分詞)factus、(完了分詞)factum
ラテン語facere(作る、行う)は数多くの派生語彙にとって親とも祖父とも言える存在で、face(顔)やbenefit(利益)等の語源も元々はこのfacere自体やfacereの組み合わせによって来ています。
そのため、語根変化形もその意味も非常に幅拾く、「facが入っているから【作る、行う】に近しいニュアンスに違いない」と思って辞書を引くと想像出来ない意味でしたという事も当然のようにあります。
複雑なfacをより分かりやすく解説するために、ページもいくつか分けながら整理して行きます。
このページでは、facの最も基本的な形をご紹介します。是非このページを軸にfacを勉強してみて下さい。
当ブログで紹介するfacの範囲
facの枝分かれとしては大きく三つです。家族関係に例えてみます。
- fac・fect・fact ⇒ 親。このページではfacを紹介します。
- fic・fy ⇒ 子。最も使われやすいfacの語根変化形
- fair・fit・face・feit・feat など ⇒ 孫や親戚。派生した言葉から更に派生したため、「作る、行う」からは想像しづらい意味になっている可能性有り。
当サイトでは1と2を重点的に紹介し、3については一つの記事にまとめたいと思います。
facの語根変化形に対する考察
fac, fect : 作る、行う
effect, affect, defect, infect, perfect, confect
fact : 作られた物、やった事
fact, factor, faction, manufacture, factory
fic : 名詞・動詞・形容詞・副詞の形容詞化 : ~にする、~を起こす、~化する、~化的な
honorific, pacific, sacrificial, beatific, magnific, horrific, beneficent
-fy : 主に形容詞の動詞化 : ~にする、~になる、~のようになる(させる)、~化する
satisfy, stupefy, (直接子音に続くときは -ify になる)beautify, simplify, amplify
その他 fac の派生語根に関しては以下で解説しています。
「fac」「fact」の違いを分ける決定的な考え方
facは「作る・行う」という意味に対し、factは「作られた物」。この違いは語源にあります。
factの語源となったfactumはfacereの完了分詞形であり、英語としても「事実・真実・現実」という意味を持ちます。このラテン語と英語両方の意味を捉えつつ英単語を見ると、「fac」のみが入った英単語と「fact」の入った英単語で微妙な違いが理解出来てきます。印象としては、facは単語に動詞・形容詞っぽさが、factは名詞っぽさが出てきます。
factに関する記事はこちら
facに関するTips
-facient:接尾語。右の意をした形容詞・名詞を造る:~化する(もの)、~性の(もの)
calefacient, rubefacient
fac を使った英単語
facile [ fǽsl ] [形] ~しやすい、たやすい、容易な、(悪い意味で)安易な・深みのない・良く動く
facileの語源:ラテン語facere(作られた物)⇒ラテン語facilis(簡単な、容易な)⇒古仏語facile(簡単な、容易な)⇒ 英語のfacileへ。
facsimile [ fæksíməli ] [名]複製、模写 [形]複製された [動]~を模写する、~の複製を作る
fac(作る・行う)+ simile(類似した・同様の)=同じ物を作る
fac : ラテン語facere(作る・行う)
fact : ラテン語factum(作られた物・やった事)